不燃材・準不燃材・難燃材料の違い、
内装制限についての基礎知識
建築基準法における
防火材料とは?
建築基準法では、公共・商業施設などの建物用途・規模によって、壁・天井仕上げに防火材料の使用が義務づけられています。その規制を「内装制限」といい、住宅ではキッチンのコンロ周りが対象です。ここでは、建築基準法における防火材料(不燃材料、準不燃材料、難燃材料)や内装制限について解説しています。
建築基準法における
『防火材料』とは?
国土交通大臣による「防火認定」が
適用された建築材料
建築基準法における『防火材料』とは、火災時の火熱によって「燃焼しない」「避難上有害な煙又はガスを発生しない」等の不燃性能を有する建築材料として、国土交通大臣が定めた材料、または認定した材料のことで、不燃材料、準不燃材料、難燃材料の3グレードに分類されています。
『防火材料』の条件は、建築基準法施行令第108条の2で定められた下記の第1号、第2号、第3号の要件を満たしているものをいいます。
※要件を満たしていれば『防火材料』という事ではなく、
満たした上で国土交通大臣の
認定を受けていること(定められていること)
が前提となります。
防火材料の条件
- 第1号 燃焼しないものであること。
- 第2号 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
- 第3号 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
【建築基準法施行令第108条の2】より
※このページでは、
不燃材料(準不燃材料、難燃材料)の総称として
一般的に使われている『防火材料』という
通称を使用して説明しています。
不燃材料、
準不燃材料、難燃材料
防火材料は、加熱開始後、
条件(第1号、第2号、第3号)を満たす時間に応じて
「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の
3つにグレード分けされています。
01.不燃材料
加熱開始後20分以上要件を満たすもの
不燃材料は、建設省告示第1400号で
下記のように定められています。
- 1.コンクリート
- 2.れんが
- 3.瓦
- 4.陶磁器質タイル
- 5.繊維強化セメント板
- 6.厚さが3mm以上のガラス繊維混入セメント板
- 7.厚さが5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
- 8.鉄鋼
- 9.アルミニウム
- 10.金属板
- 11 ガラス
- 12.モルタル
- 13.しっくい
- 14.石
- 15.厚さが12mm以上のせっこうボード
(ボード用紙原 紙の厚さが0.6mm以下のものに限る。) - 16.ロックウール板
- 17.グラスウール板
上記に含まれない材料は、個別に試験を行い、通常の火災による加熱開始後20分間、防火材料の要件を満たしていることが確認されれば、国土交通大臣より不燃材料として認定を受けることができます。不燃材料の認定を受けた製品ごとに「NM-○○○○」「NE-○○○○(外部仕上げ用)」の認定番号が割り振られています。
02.準不燃材料
加熱開始後10分以上要件を満たすもの
準不燃材料は、建設省告示第1401号で
下記のように定められています。
- 1.不燃材料のうち通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間建築基準法施行令第108条の2各号に掲げる要件を満たしているもの
- 2.せっこうボード(厚さ9mm以上、ボード用原紙の厚さ0.6mm以下)
- 3.木毛セメント板(厚さ15mm以上)
- 4. 硬質木片セメント板(厚さ9mm以上、かさ比重0.9以上)
- 5. 木片セメント板(厚さ30mm以上、かさ比重0.5以上)
- 6. パルプセメント板れんが(厚さ6mm以上)
上記に含まれない材料は、個別に試験を行い、通常の火災による加熱開始後10分間、防火材料の要件を満たしていることが確認されれば、国土交通大臣より準不燃材料として認定を受けることができます。準不燃材料の認定を受けた製品ごとに「QM-○○○○」「QE-○○○○(外部仕上げ用)」の認定番号が割り振られています。
03.難燃材料
加熱開始後5分以上要件を満たすもの
難燃材料は、建設省告示第1402号で
下記のように定められています。
- 1.準不燃材料のうち通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間建築基準法施行令第108条の2各号に掲げる要件を満たしているもの
- 2.難燃合板(厚さ5.5mm以上)
- 3.せっこうボード(厚さ7mm以上、ボード用原紙の厚さが0.5mm以下)
上記に含まれない材料は、個別に試験を行い、通常の火災による加熱開始後5分間、防火材料の要件を満たしていることが確認されれば、国土交通大臣より準不燃材料として認定を受けることができます。準不燃材料の認定を受けた製品ごとに「RM-○○○○」「RE-○○○○(外部仕上げ用)」の認定番号が割り振られています。
建築基準法の「内装制限」
不特定多数の人が利用する
建物(特殊建築物)などには、
建物用途・規模・その他条件によって
防火材料の使用が義務付けられています。
「内装制限」とは?
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内装制限とは、内装仕上げを燃えにくい材料にすることで、火災の拡大を遅らせたり、煙・有害ガスの発生を抑えるための規制で ”建築基準法”、”消防法”2つの法律で定められています。
建築基準法で定めている内装制限では、壁と天井が規制の対象となり、建具・床は対象外です。内装制限の対象となる建築物の内装(壁・天井)仕上げには準不燃材料(または難燃材料)の使用が義務付けられています。
内装制限の対象となる建築物
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全ての建築物が内装制限の対象となるわけではなく、建物用途・規模等によって大きく4つ(①特殊建築物、②大規模建築物、③火気使用室、④無窓居室)に分類され、条件等が細かく定めれています。マンション・オフィスビル・店舗等の内装リフォームの際は、内装制限にかかる場所かどうかの確認が必要です。住宅においても火気使用室(特にガスコンロを使うキッチンや暖炉まわり等)は注意が必要です。
住宅における火気使用室の内装制限
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内装制限に関わる「火気使用室」とは、コンロ、暖炉、囲炉裏などが使用される部屋を指します。
ガスコンロが設備された住宅のキッチンは火気使用室と定義され、建築基準法で準不燃材料以上の不燃材料で仕上げることが義務づけられています。(※但し、耐火構造の場合や、階数≧2で、最上階にあるキッチン、IHコンロを設置したキッチンは、内装制限対象外。)
また、垂れ壁(防煙壁)の無いオープンキッチンの場合、ダイニングとリビングも内装制限にかかる場合があるので注意が必要です。
【戸建て住宅のキッチン限定】
内装制限の緩和について
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従来、住宅のキッチンは火気使用室と定義されていましたが、2009年4月1日に告示された改正条例(告示第225号)により、戸建て住宅に限って、内装制限がコンロまわりのみとなりました。キッチンのコンロ周りを特定不燃材料またはそれに準ずる材料で強化することで、それ以外の天井・壁仕上げは木材や難燃材料等の材料が許容されています。最上階ではないガスコンロのキッチンの場合、内装制限により木材の使用不可であったり、区画のために垂れ壁が必要でしたが、緩和によってプランニングの幅がひろがりました。
※「内装制限」の法令はとても複雑で
ここで紹介した内容以外にも様々な条件が関係します。
詳しくは、国土交通省の
「準不燃材料でした内装の仕上げに準ずる仕上げを定める件
(平成21年国土交通省告示第225号)」の法文にて
ご確認をお願いします。
「防火材料」とは?
まとめ
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ここでは、建築基準法における「防火材料」「内装制限」についての基礎知識を紹介しました。
記載した内容は法令の一部分を要約してまとめたもので、「内装制限」の規制、緩和策については、さらに細かく条件等が定められており、全てを説明したものではありませんのでご了承ください。DIYリフォームの基礎知識として不燃材料、準不燃材料、難燃材料の違いや「内装制限」について知っておくと商品選びの際に役立つ場合もありますので、ぜひ参考にしてください。※尚、法改定により内容に変更が生じる場合がございますのでご了承ください。