フロアタイル用ボンドの選び方

使用する場所・温度・床材の特性に合った正しい接着剤選び フロアタイル用ボンドの選び方

フロアタイルは色柄が豊富でお手入れもしやすい人気の床材ですが、温度変化の影響を受けやすい特性があります。そのためフロアタイルのボンド選びはとても重要!つまり、施工を成功させるカギは「使用する場所・温度・床材の特性に合った正しい接着剤選び」です。

フロアタイルの
ボンド選びはとても重要!

  • フロアタイルのボンド選び
  • フロアタイルは色柄が豊富でお手入れもしやすことからDIYにも人気の床材ですが、ボンド選びの際は注意が必要です。
    フロアタイルは、温度変化に敏感という特性があります。たとえば、夏場の室内温度が上昇すると、床材が膨張して突き上げや浮きといったトラブルが発生することがあります。これは、適切な接着剤を使用していなかったり、使用方法を誤った場合に起こりやすく施工不良の原因となります。
    そのため、接着剤の選定は仕上がりの美しさや耐久性に直結する非常に重要な工程です。

「フロアタイルの施工は、ボンド(接着剤)選びが1番重要!」と言っても過言ではありません。

正しいボンド選びの基本ポイント

ボンドの選定には、貼る床材の種類だけでなく、下地や湿気の状態など施工場所の環境も合わせて確認することが必要です。正しいボンド(接着剤)を使用することで、施工後の不具合(突き上げ・浮き等の接着不良)を防ぐことができます。

  • メーカーの指定(推奨)ボンドを使う

    メーカーの指定(推奨)ボンドを使う

    まず、使用する床材の特性に合った接着剤を選ぶことが重要です。基本はメーカー指定(推奨)のボンドを選びましょう。多くのフロアタイルメーカーは、それぞれの製品に最適な接着剤を指定しています。異なるメーカーの接着剤を使うと、施工不良や保証対象外になることもあるため、注意が必要です。

  • 使用環境に合ったボンドを選ぶ

    使用環境に合ったボンドを選ぶ

    施工する場所の環境に合った接着剤選びも重要なポイントになります。
    たとえば、水まわりや床暖房の上に施工するなら、湿気や熱に強い接着剤である必要があります。寒暖差が大きくなる場所も注意が必要です。

失敗の具体例を紹介!間違ったボンド選びをすると
どうなる?

よくある失敗例

  • 床材が浮いてきた
    (付き上がってきた)

    膨張して突き上がる

    特に夏場の暑い環境下や直射日光が長時間当たる場所で、床材が膨張してサイズが大きくなり突き上がりや浮きが起こります。
    熱に弱い水溶性の接着剤を使っていた場合、高温下で接着力が低下してタイルの膨張に耐えられず、このような不具合が起こってしまいます。

  • 水まわりに貼った後
    床材が剥がれてしまった

    床材が剥がれる

    浴室まわり・玄関・土間・洗面室などの湿度が高くなる場所へ、水溶性の接着剤を使用した場合、水分を含む水性ボンドは、湿気の多い環境では硬化が不十分になったり、接着力が落ちてしまう可能性があります。

  • 施工直後に床材が
    ズレてしまった

    床材がズレる

    クッションフロアやタイルカーペット用のボンドなど接着力の弱いボンドで貼ってしまうと、一般的なフロアタイルには不向きなため、しっかり固定できずにズレや浮きの原因となります。

※これらの事象は、壁際や建具との間に適切なクリアランス(隙間)を設けなかった場合や、下地の状態(不陸がある)、塗布ムラ、オープンタイムのミスなど、ボンド以外が要因となる場合もあります。

床材用ボンドの種類と特徴

床材用ボンド(接着剤)の種類とそれぞれの特徴、用途、
施工の注意点など知っておくとフロアタイルの接着剤選びに役立ちます。

ボンドの種類 性能と特徴 使用できる床材
使用できる場所
水まわり
多湿な場所
床暖房 注意点
ゴム系
ラテックス形

最も粘着力が弱く扱いやすい。

  • クッションフロア
  • 軽い床材

住宅の室内、軽歩行エリア、DIYリフォームや部分補修
※フロアタイルには不向き

×

×

多湿な場所、高温になる場所、重歩行などには不向き。

アクリル樹脂系
エマルション形
【一般工法】

水性で塗りやすい。乾きが早い。低臭で安全性が高い。DIYに向いている。

  • クッションフロア
  • タイルカーペット
  • 塩ビタイル

湿気や温度変化の影響が少ない室内(軽歩行)

×

×

湿気・熱に弱い。オープンタイム(乾かす時間)が必要。床材や下地との相性に注意。

アクリル樹脂系
エマルション形
【ピールアップ工法】

完全に硬化しないタイプで再剥離・再接着が可能。低臭・安全性が高い。

  • タイルカーペット
  • 置き敷き
    フロアタイル

オフィス・商業施設の床、展示会などの仮設施工

×

×

完全固定を必要とする床材には不向き。湿気・熱に弱い。

ウレタン樹脂系

強い接着力と柔軟性。耐水性・耐熱性に優れる。1液型と2液型(重歩行対応)がある。比較的、プロ向け。

  • フロアタイル
  • クッションフロア
    (※重歩行)

屋外、水まわり(洗面・玄関)など湿気の多い場所、床暖房エリア、コンクリ下地


硬化すると剥がしにくくなる。手・衣類に付くと落としにくい。ニ液型は刺激臭がある。

エポキシ樹脂系

強い接着力があり、耐水性・耐薬品性などに優れる。二液混合型が多くプロ向け。

  • フロアタイル
  • Pタイル

コンクリ下地、工場・倉庫・店舗の床、多湿な場所、冷蔵倉庫、床暖房エリア


臭いが強く換気が必要。2液を混ぜて施工するためDIYには不向き。

変成
シリコーン系

湿気で硬化するタイプ。接着力が高く、弾性・密着性・耐水性・耐熱性に優れる。拭き取りやすくDIY向き。ウレタン系より剥がしやすい。

  • フロアタイル
  • 木質系フローリング

水まわり(洗面・玄関)など湿気の多い場所、床暖房エリア


硬化に時間がかかるため、施工後の養生が必要。油分・粉塵があると接着力が低下する。

※床暖房エリアで使用できる接着剤には、60℃程度までの耐熱性と柔軟性(弾性)が必要です。「床暖房対応」等の明記があるかチェックしてから選定してください。

  • ウレタン樹脂系(1液型)、変成シリコーン系は製品によって対応の可否が異なります。
  • エポキシ樹脂系は「弾性エポキシ系」や「床暖対応エポキシ系」であれば対応可能です。

フロアタイル用ボンドを
施工場所の環境で選ぶ

湿気や水、温度変化の影響が
少ない室内
(乾燥したコンクリート、合板などの木質下地)

水まわり、多湿な場所、
玄関土間、屋外

床暖房エリア

  • 簡易接着が可能な樹脂系床材の施工に最適!即硬化タイプで作業効率UP!絞り出しやすいアプリパック入りでDIYにもおすすめ。耐水性・耐熱性に優れる。

    税込1,890

    ※簡易接着施工が可能な樹脂系床材用

    変成シリコーン系 床暖対応
  • 初期粘着力に優れた耐湿工法用接着剤。特にビニル床材に接着力を発揮する床暖房対応タイプ。

    税込6,447円~
    ウレタン樹脂系 耐湿工法用 床暖対応

種類別おすすめ商品を紹介フロアタイル用ボンドを
種類で選ぶ

アクリル樹脂系

  • アクリル樹脂系の特徴
  • アクリル樹脂系の接着剤は、フロアタイルなどの塩ビ系床材を室内に施工する際に使用できます。
    低臭で安全性が高く、水性で扱いやすいためDIYに向いています。
    湿気と熱に弱いため、水まわりや床暖房エリアには不向き。床材と下地との相性が悪いと接着不良を起こす場合があるので注意が必要です。

ウレタン樹脂系

  • ウレタン樹脂系の特徴
  • ウレタン樹脂系の接着剤は、強力な接着力と耐水性・耐熱性に優れ、様々な床材施工に使用できます。
    水回り(脱衣所・洗面・トイレ)、玄関土間など湿気の多い場所への施工は、ウレタン系ボンドを選びましょう。屋外対応、床暖房エリア対応可否は製品によって異なります。
    固まると剥がしにくい、手や衣類に付くと落としにくい、ニ液型は刺激臭があるなどプロ向けの接着剤です。

変成シリコーン系

  • 変成シリコーン系の特徴
  • 変成シリコーン系の接着剤は、外装から内装まで幅広く対応できる日本生まれのボンドです。
    比較的ウレタン系ボンドよりも剥がしやすく、はみ出した際に拭き取りやすいのでDIYにもおすすめ。耐水性・耐熱性に優れ、多湿な場所、床暖房に対応できます。
    湿気硬化タイプ(外気や湿気に触れることで硬化が進む接着剤)のため、施工後に最長24時間程度の養生が必要になります。

  • 簡易接着が可能な樹脂系床材の施工に最適!即硬化タイプで作業効率UP!絞り出しやすいアプリパック入りでDIYにもおすすめ。耐水性・耐熱性に優れる。

    税込1,890

    ※簡易接着施工が可能な樹脂系床材用

  • 貼り替え時に剥がしやすく、下地を傷めずに除去が可能。適応商品(推奨)は同メーカー製品のホームベスタ、エグザフロアなどです。

    税込10,877

ピールアップボンド

  • ピールアップボンドの特徴
  • ピールアップボンドは、アクリル樹脂系接着剤の一種でピールアップ工法対応の置き敷きフロアタイルに使用できます。
    半永久的な粘着力で、床材を簡単に貼り替えできます。剥がした後、床面に残ったボンドはそのまま上から新しい床材を貼れるので、部分的に汚れたり傷んだりした床材だけを”部分貼り替え”で交換することが可能になります。

フロアタイル用ボンドを
メーカーで選ぶ

施工時の注意点
温度とオープンタイムについて

正しい接着剤選びができても、間違った施工をしてしまうと接着不良の原因となります。
フロアタイル施工時の注意点を必ず守って施工しましょう。

フロアタイルの施工適温について

  • 施工の前に室温に馴染ませる
  • 一般的なフロアタイルは伸縮を起こしやすい特性があります。低温時や高温時に施工すると、急激な温度変化によって接着剤の粘度が変わり接着不良を起こすことがあります。
    そのため、施工前に商品をケースからだし室温に馴染ませてください。室温が10℃以下の場合は施工場所を温めた上で一定にしてから施工してください。
    ※理想的な施工温度は10℃~25℃が目安です。
    (メーカー製品の推奨適温は約15℃~25℃)

    施工時の温度が高温であるほど冬場に目隙ができやすく、低温であるほど夏場に突き上げが起こりやすいので施工適温は必ず守りましょう。

オープンタイムについて

  • 施工の前に室温に馴染ませる
  • オープンタイムとは、接着剤を床面に塗布してから、床材(フロアタイル)を貼り付けるまでの適切な待ち時間のこと。
    接着剤は塗ってすぐに貼るのではなく、ある程度乾かしてから(半乾きの状態で)貼る必要があります。この時間を守ることで初期接着力が高まります。オープンタイムの時間は、製品や気温によって異なりますが、一般的には10~30分が目安です。「指触乾燥(指で触れて糸を引かずベタつきが少ない状態)」を目安にするとわかりやすいです。
    オープンタイムが短すぎると接着剤が乾ききらず滑ってズレの原因となったり、逆に長すぎると接着力が落ちてフロアタイルの浮きの原因となります。

  • オープンタイムとは
  • ボンド施工の場合、適切な室温を守り正しく施工されれば、通常は伸縮の影響を抑えられます。施工時の注意点として、ボンドの適切な接着可能時間を経過して施工した場合や、ローラーでの圧着が不十分な場合、ボンドの接着力より床材の伸縮力が勝ってしまうため、突き上げや目隙が起こる可能性がありますので十分注意して施工してください。

フロアタイルの種類によって
両面テープでの施工が
可能なケースも

  • 両面テープでの施工が可能
  • 一般的なフロアタイルは寒暖差で伸縮するため、接着剤で全面接着する必要があります。
    伸縮率が小さいフロアタイルであれば、ボンドを使わず両面テープでの施工が可能になり、上貼りにも対応できる薄型床材も近年販売されています。
    その場合、フロアタイルに温度変化による伸縮を抑えられる特性があること、製品自体が反ったり湾曲しない高い安定性があること、両面テープで固定できる下地であることが絶対条件になります。

両面テープで施工できる
おすすめの薄型床材

  • パナソニック ウスイータ 1.5mm厚 非耐熱 両面テープセット
  • パナソニック ウスイータ
    1.5mm厚 非耐熱 両面テープセット

    薄型リフォーム用木質床材。既存フローリングに専用の両面テープで上貼りできる1.5mm厚の薄型フローリングです。

    税込11,020

フロアタイルのボンド選び
まとめ

覚えておこう
接着剤選びのポイント
基本的にメーカー指定(推奨)のボンドを使用する。
アクリル樹脂系は、水性で扱いやすくDIY向き。
(但し、使用する環境は限られる)
変成シリコーン系は、DIY向きかつ多用途に使える。
ウレタン樹脂系は、最強だけど難易度が高くプロ向き。
湿気やすい場所、床暖エリア、寒暖差の大きい場所は必ずウレタン系・変成シリコーン系を選ぶなど使用環境に合ったボンドを使用する。
  • 正しい接着剤選び
  • フロアタイルの施工を成功させるために
    カギとなるのは「正しい接着剤選び」

    施工場所の環境や床材の特性を考慮して、適切なボンド(接着剤)を選び、施工時のルール(温度、オープンタイム)を守ることで接着不良の発生を防ぎ、美しく長持ちする床の仕上がりを維持できます。
    正しいボンド選びができれば、フロアタイルDIYが成功にグンと近づきますよ!

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接着剤の豆知識

内装用の接着剤は、JIS規格において
「主成分」と「床材の形状及び用途」に分類されています

「主成分」の主な分類は4つ
  1. アクリル樹脂系エマルション形
    • アクリル樹脂を主成分としたエマルション形のもの。
  2. ゴム系ラテックス形
    • エポキシ樹脂を主成分とした主剤とポリアミン類を主成分とした硬化剤との二液反応形のもの。 
  3. エポキシ樹脂系
    • アクリル樹脂を主成分としたエマルション形のもの。
  4. ウレタン樹脂系
    • ウレタン樹脂を主成分としたもの。
  5. 変性シリコーン樹脂系
    • 変成シリコーン(オルガノシロキサンをもつ有機ポリマー)樹脂を主成分としたもの。 
「床材の形状及び用途」の
分類は3つ

一般形 : 張付け後,水の影響を受けない箇所に用いるもの。
置敷形 : 置敷形に用いるもので張付け後,水の影響を受けない箇所に用いるもの。
耐水形 : 張付け後,水の影響を受けやすい箇所に用いるもの。

引用元:日本産業規格の簡易閲覧 
JIS5536:2015 床仕上げ材用接着剤

上記の分類を見ても、接着剤の特性(成分)と床材の形状、使用する環境(用途)が重要であることがわかりますね。
また、「接着剤の硬化(固まる)メカニズム」(接着剤が液状からどのようにして固まるのか)に関しては以下の3つに分類されています。
  1. エマルション形
    • 水に分散した合成樹脂の粒子(エマルション)が主成分。
    • 空気中の水分が蒸発することで硬化。一液性(水性)で扱いやすい。

    注意点:水を含むため、耐水性には限界がある(高湿度や水回りには不向き)。

  2. 二液混合硬化形
    • 主剤と硬化剤を使用直前に混ぜて使うタイプ。
    • 混ぜることで化学反応が起こり短時間で硬化。高い強度・耐水性・耐熱性を持つ。

    注意点:混合比が重要で、作業に手間がかかる。

  3. 化学反応硬化形(反応形とも呼ばれる)
    • 空気中の湿気や基材と反応して硬化するタイプ。(湿気硬化型)
    • 一液性または二液性がある。

    メリット:耐水性・耐熱性があり、弾性を持つものも多く、下地の動きに追従しやすい。

上記の分類は、接着剤のパッケージに記載されていますので施工前に確認してみてくださいね。
#フロアタイル #接着剤 #ボンド #選び方

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