天然木と人工木の耐久性(耐候性)の違いは?
経年変化ってどう変わる? ウッドデッキの耐久性と
経年変化
ウッドデッキは屋外環境の様々な要因で経年変化を起こします。耐久性にどう影響するのか、また天然木と人工木でどんな違いがあるのでしょうか…。それぞれの木材が持つ特性、耐久性、経年変化についてまとめてみましたのでウッドデッキ材選びの参考にしてくださいね。
ウッドデッキに必要な
耐久性とは?
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どのようなものでも耐久性はとても重要ですが、屋外で使用するウッドデッキは、雨や土からあがってくる湿度、太陽光による紫外線、温度上昇など、さまざまな自然現象に強いことがとても大切です。中でも一年を通して湿度が高めの日本の風土は、木材を腐食させやすいといいます。そのためウッドデッキ材は、特にこの水(湿度)に強い木材を選ぶか、あるいはしっかりと加工や補強された丈夫なものを選ぶことなどが重要になります。つまり、ウッドデッキに使用する木材は、太陽光や風雨にさらされる屋外環境において反りや割れ、腐朽等が起こらず長持ちするほど耐久性・耐候性に優れているといえます。
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ウッドデッキを長持ちさせるためには、正しく施工して丈夫に作ることも重要です。基礎部分が弱い作りだったり、デッキ材の固定が適切に行われていないなど施工方法に問題がある場合、ウッドデッキ自体の強度が劣り、耐久性にも影響します。また、使用する木材の厚み、太さ、工法の違いでも強度に差が出ます。
丈夫なウッドデッキを作ることは、台風時の暴風雨対策にもつながりますので、基礎工事から床板・幕板張りまで、手を抜かず正しい施工方法でウッドデッキを設置しましょう。
天然木 vs 人工木 耐久性の違い
天然木ウッドデッキの耐久性
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スギ・ヒノキなど、ソフトウッド
(針葉樹)の場合
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ソフトウッドとは針葉樹からつくられた木材の総称です。市販されているSPF材もソフトウッドの仲間です。SPF材は柔らかいので加工しやすく、DIY初心者でも扱いやすいこと、低価格なことから人気の木材ですが屋外での使用に適しません。スギやヒノキなどのソフトウッドは、腐食を防ぐための防腐防蟻処理や薬剤を加圧注入処理などを施せば、屋外でも十分使用できます。ウッドデッキ材にソフトウッドを選択する場合は、虫害や腐食に対応する処理と塗装などのメンテナンスを定期的に行うことが耐久性を高めるために重要です。 しかしながら、無塗装の状態で屋外にて使用した場合、約1年~3年しか持たず、塗装をしていても一般的には約5~10年ほどで腐り始めるケースが多いといわれています。
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ウリン、イペなど、ハードウッド
(広葉樹)の場合
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ハードウッドは、熱帯広葉樹からつくられた木材の総称で「高耐久性木材」ともいわれています。なぜ高耐久性木材といわれるのでしょうか。それは木自体の密度が高く、とても硬く重い木材なので腐食が起こりにくいからです。代表的な樹種はウリン、イペ、セランガンバツなど。熱帯広葉樹は雨の多い地域に分布する樹木なので、木本来が湿度に強く腐りにくい性質を持っているものだといえます。ハードウッド無塗装でも15~25年ほどの耐久性があるといわれています。ただし、設置環境によっては10年を超える頃から腐り始めるケースもあります。
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ハードウッド材の中では
群を抜く最強の天然木『ウリン』ウリンは耐久性・耐湿性・強度に優れており、シロアリなどの害虫にも強く屋外での使用に威力を発揮します。また、天然木なのに面倒なお手入れ不要のメンテナンスフリー!施工後の反り・曲がり・割れなどは他の樹種と比べて少なく、形状安定性にも優れているためウッドデッキ用途に最適です。
人工木ウッドデッキの耐久性
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人工木は木粉と樹脂を混ぜ合わせてつくった人工的な木材です。天然木にみられるような腐食やシロアリの被害を起こす心配が大きく軽減されます。そもそも腐食がおこるのは木材に蓄積された水分が一番の原因で、そこに木材腐朽菌という菌類が繁殖して腐食していきます。人工木は腐食の一番の原因となる水分を溜め込みにくいため腐食を防ぐことができます。木材の配合率で多少の差はありますが、プラスチック成分の働きで湿気に強く、乾燥によるひび割れやささくれも生じにくく、一般的に10~15年は問題なく使用できる耐久性があります。ただし、腐りにくい=劣化しないではなく、人工木も年数が経つとプラスチック特有の変色や劣化がみられるケースもあります。
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人工木デッキ材には様々な種類があり、機能性に優れ、より耐久性を高めたものも多くあります。一般的に単層構造よりも複層構造のものが耐久性は高くなります。屋外環境に強く劣化しにくい耐候性、表面温度の上昇を抑える遮熱性、吸水率が低く腐りにくい耐水性・耐湿性など、設置場所や使用目的に合わせて選ぶことができます。
また、人工木材は床板以外の束、根太、固定金具などの専用部材も豊富に揃っており、DIYでも丈夫で高品質なウッドデッキが作れるように工夫されています。
ウッドデッキの経年変化
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経年変化とは?
経年変化とは、年月が経つにつれて品質や性能が変化したり、見た目の様子が変わってきたりすることをいいます。ウッドデッキの場合、天然木であっても人工木であっても、デッキ材自体は時間とともに古くなり変化していきます。天然木の経年変化は主に太陽光の影響でデッキの表面がグレーがかった色になることです。これは天然木の大きな特徴の一つでその色の変化を好む人も多くいます。人工木は目立った色の変化はありませんが、長く使っていることで汚れが沈着したり色褪せ・退色などが挙げられます。
天然木ウッドデッキの経年変化
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スギ・ヒノキなど、ソフトウッド
(針葉樹)の場合
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ウッドデッキが日本でもつくられるようになった当初は、ソフトウッドのデッキ材が多く使われていました。それはカナダや北米のマツ科の常緑針葉樹であるSPRUCE(スプルース)、PINE(マツ)、FIR(ファー)が2×4工法で使われるようになりSPF材の流通が盛んになったからです。このSPF材は柔らかく加工しやすく、しかも安価のためDIYで使う木材として人気が高いですが、屋外での耐久性はほとんどありません。ソフトウッドは、屋外で風雨にさらされると変色や腐食の進行が早く、メンテナンスを怠るとあっという間に傷んでしまいます。一般的に1~3ヶ月ほどで色褪せが始まり、1年経つ頃には劣化が目立つようになります。
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ウリン、イペなど、ハードウッド
(広葉樹)の場合
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ハードウッドはソフトウッドに比べて硬く丈夫なため大変腐食しにくくウッドデッキに適した木材ですが、ソフトウッド同様に変色します。ハードウッドは基本的に無塗装で使用するため、時間の経過とともに、次第にグレーがかった色に変わり、最終的には「白銀化」の状態になります。変色しても木材自体の強度はそのままで使用できます。
ハードウッドは防腐処理などの塗装をしなくても、ノーメンテナンスで耐久性を保ち、経年変化による色の変化を楽しめる魅力があります。何らかの理由で塗装する場合は、木の呼吸を維持できるオイルステイン系塗料や着色しないクリアなタイプをおすすめします。
人工木ウッドデッキの経年変化
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人工木は天然木のように木材の色がグレーがかってくるというような経年変化はほとんど見られず、施工当時の状態を長持ちさせることができます。しかし色がまったく変化しないというわけではありません。日頃のメンテナンスによっては汚れが付着したり、紫外線や降雨に当たることで素材に含まれる木材の色褪せやプラスチック成分の劣化によって多少の色褪せ・退色が起こります。天然木特有のささくれなどの傷みが起きることはありませんが、伸縮率は天然木よりも高くなります。また、樹脂を使用しているため、古くなるとプラスチック材がもろくなって割れるような劣化が起こることが想定されます。
天然木 vs 人工木 耐候性の実験をしてみました!
日当たりの良い雨ざらしの屋上に天然木と
人工木のサンプルを1年放置してみたら...
結果は一目瞭然!
天然木は全てシルバー色に変化し、人工木は種類によっては若干の色褪せがあるものの、元々の色合いを保っています。杉板は反りやヒビが見られますが、その他の天然木・人工木は割れや反りなどの劣化は見られませんでした。
天然木の特長として、経年変化によりシルバー色に変化します。ハードウッドは色が変化しても木材自体の強度はそのままです。ソフトウッドの中でもサーモウッドやアコヤのように、ハードウッドに匹敵するほどの耐久性を持つものもあります。本物の木の温かみや経年変化を楽しめることが天然木を選ぶ理由のひとつといえますね。
一方、人工木は天然木にみられる腐食が起こらないように開発された木材なので比較的「色褪せにくい・腐りにくい・ささくれない」特長があります。お気に入りの色合いをずっと楽しみたい!ウッドデッキをメンテナンス無しで長持ちさせたい!という場合は人工木を選ぶと良いでしょう。
まとめ
ウッドデッキの経年変化でわかりやすいのが木材の「変色」。特に天然木による経年変化は木材自体の色が変わっていくため元に戻せるということではありません。けれど、それが天然木の魅力であり、美しさであるということもできます。デッキ材の耐久性や経年変化はそれぞれ違いがありますが、設置場所や用途、生活スタイルや好みなどに合わせて価格や木材の特性など総合的な判断でデッキ材を選ぶようにすればきっと満足のいくウッドデッキライフを楽しむことができますよ。
ウッドデッキ・エクステリア教室
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