建築基準法で計算ウッドデッキは風で飛ばされるのか?
ウッドデッキは施工場所や施工方法によっては強風の影響で飛ばされる可能性があるのでしょうか。DIY向けとして人気のウッドデッキ材RESINWOODと専用基礎部材THILFEの組合せで施工した場合で検証してみました。RESINWOODはデッキの中でも軽量で、さらに基礎部分とデッキ部分は外れる構造になっています。お客様に安心してお使いいただくために、強風に対する建築基準法の屋根の強度計算方法に基き、どれくらいの風で飛ばされるかを算出しました。
【結論】
普通の場所で普通の施工をすれば飛ばされない。
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幕板で全面を覆うとき
竜巻以外では飛ばされない。
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幕板をつけないとき
沖縄や小笠原諸島、および特定の沿岸部を除き、飛ばされない。
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1面だけ幕板をつけないとき
高さや奥行きなどの条件によって飛ばされることがある。
全面に幕板を付けている場合、風の入り込みが最小限になるため、ウッドデッキが風で飛ばされることはありません。 また、幕板を全く付けていない場合でも、沖縄や小笠原諸島などの台風の風が猛烈に強い地域や、沿岸部などの特定の強風が吹く行政指定の地域を除けば、ウッドデッキは飛ばされないという計算結果となりました。 一方、幕板を1面だけ設置しないウッドデッキは、その面から風を受ける時に、奥行きや高さの条件などによって飛ばされる可能性があります。
ウッドデッキが飛ばされないための風速を計算するにあたり、建築基準法のうち、屋根の強度を計算する方法を用いました。屋根の面にかかる力は、P=q・Cf(N/m2)で表され、
q:速度圧 (風の強さや設置場所などの条件によって決まる力。風の速さが2倍になると強さは4倍になる)
Cf:風力係数(屋根の形状による、受ける力の割合を示す数値)
このうちq(速度圧)は、設置する地域や場所によって法律で定められた数値(設計風速)になります。例えば、東京都23区では34m/s、沖縄では46m/s、北海道では30m/sの風速を元に計算します。台風の影響が大きい地域ほど、数値が大きくなっています。
他にも、地表面粗度区分という下記のような定義があります。
1:特に風が強い沿岸部など(特定行政庁が指定する地域)
2:田園地帯の高い建物
3:一般的な地域
4:ビルや建物が立ち並び、風が吹き抜けにくい地域(特定行政庁が指定する地域)
※このページでは「3.一般的な地域」の条件をもとに計算しています。
Cf(風力係数)は、屋根の形状によって風の圧力が屋根に与える力の割合を表す数値です。 今回の計算では、 幕板を設置しないウッドデッキ:独立上屋(駅のホームの屋根のように柱だけで固定された屋根)、幕板を一面だけ設置しないウッドデッキ:開放型建築物(倉庫のような一面だけに壁がない建物の屋根)の条件で計算しています。
幕板をつけないときの設計風速は40m/sまでOK
基礎部材のTHILFEを含めず、デッキ材RESINWOODの1平米当たりの重量は約18kgです。幕板をつけていない状態でこのウッドデッキを浮かせるためには、176.4N/平米の持ち上げる力が必要になります。これを「3:一般的な地域」の条件で計算すると40m/sの設計風速まで耐えられる計算結果となりました。 つまり、「3:一般的な地域」では、設計風速が40m/sを超える地域を除いて、幕板をつけなくてもデッキ材が飛ぶことなく安全に使用できると言えます。
幕板を1面だけつけない形状は飛びやすい
ガーデニング用品や作業道具をデッキの下に収納したい場合、上図のような幕板を1面だけつけない形状になると思います。この形状のとき、幕板がない面に近いデッキ材に持ち上がる力が強くかかります。「3:一般的な地域」において、幕板を一面だけ設置しないウッドデッキの持ち上がり始める設計風速は25m/sなので、全ての地域において対象となります。 この場合はデッキ材を根太・束、および束石もしくは基礎部分と固定してください。 デッキ材を押さえる力に束石や基礎の重量が加算されるため、強風でも安定します。
特殊な条件の時に
平米あたりに必要な束石の重量
※デッキ材(RESINWOOD)の単体重量は18kg/平米で計算。
※設計風速が40m/s以下の地域は、40m/sとして計算。
※手前とは開口部からデッキの高さ方向の長さを超える奥行き。奥はそれ以降の部分。
幕板を全面に設置していれば、どのようなパターンにおいても束石などで重量を追加する必要はありません。そのため、なるべく幕板の取り付けで風対策することを推奨します。
基礎部材がTHILFEで束石が必要な場合、形状にもよりますがTHILFEでは1平米あたり4本の束があります。1平米あたりの追加重量が20kg必要なら、1つの束に対して5kg以上の束石を使用してください。
デッキ面と束を固定する
THILFEの束はヘッドパーツが抜ける構造となっています。根太をはめて全てのレベル調整が終わった段階で、写真のようにヘッドパーツと束本体をビスで固定してください。ビスで固定した後は束が回らなくなるため高さの微調整はできなくなります。 また、固定はシングル根太のヘッドパーツ部分だけで問題ありません。
建築基準法の屋根強度とウッドデッキの違い
多くの場合、ウッドデッキを使用する面は地面から近い位置であり、日本においては塀があったり、家が隣接している場合があります。そのため、実際は屋根の計算に必要な条件よりもウッドデッキの方がかなり緩やかな条件で施工できます。 また、ウッドデッキは一般的にデッキ材同士に隙間を空けて施工します。RESINWOODであれば、施工面積に対して約4%が隙間となります。その分、風から受ける圧力は減少します。 幕板をつけないパターンにおいては、デッキの下にいくつもの束があり、デッキの上側よりも下側の風速が落ちます。このとき、デッキの上側より下側の気圧が下がり、デッキを下に押さえつける力も発生します。 よって、屋根が受ける風圧力の計算を用いれば、ウッドデッキを施工するための強度計算としては十分であり、安心してウッドデッキのDIY施工をお楽しみいただけます。
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