塗装の劣化で起きること

DIYペイントの豆知識塗装の劣化で起きること

住宅の外壁を美しく保つためには、塗装の塗りかえが必須。ペンキを塗装した場所が劣化すると、どのようなことが起きるのでしょうか。メンテナンスをしないと美観だけではなく、住宅の保護機能まで失われてしまいます。原因、対策・防止策をご紹介します。





 

ペンキが劣化する原因

ペンキ塗装をした面が劣化するのは、何が原因でしょうか。2つあり、年月の経過と、外部からの要因です。

 

 
年月の経過
年月の経過
 

年月の経過には、抗いようがありません。ペンキは塗装した時が最も新しいですが、乾いて完成した時から劣化が始まります。

人間が誕生日を迎えるのを止めることができないように、年月の経過はペンキに取っても仕方のないことです。





 
外部からの要因
外部からの要因
 

外部からの要因は主に屋外塗装における、太陽からの紫外線・雨風などの天候です。

晴れて太陽が出ていると紫外線も降り注ぎます。夏は日焼け止めを塗ったり、冬に雪山に行くときでも雪に乱反射する紫外線からゴーグルで目を守ったりしますね。それと同じで、屋外のペンキ塗膜も紫外線に晒され、守られなければ劣化します。

また、雨風によっても劣化します。暑く晴れていたかと思えばスコールが降るような天気が日本各地で増えました。家屋を押し流すような土石流を発生させる大雨も降ります。極端に湿った状態や乾燥した状態などが続き塗膜に負担がかかれば、劣化します。

そのほかでは、平屋や戸建ての敷地周りの外壁に、犬や猫がおしっこをしてしまうとアンモニアで塗膜が変質することもあります。塗膜どころかコンクリートも劣化させる、劣悪な原因ですね。





 

ペンキの劣化で起きること

ペンキの劣化で起きることはまず2種類に大別できます。塗っていたペンキ塗膜(塗装面)の変質と、ペンキ塗膜が劣化することによるペンキを塗ったいた場所・モノ・建造物への影響です。
まずはペンキ塗膜の変質である、光沢がなくなる・変色・ひび割れ・剥がれや浮き・チョーキングを解説します。





 
光沢がなくなる

ペンキ塗料を塗った後の仕上がりには2種類あります。
光沢のあるものと、光沢のないものです。ペンキといえば光沢のある仕上がりになるものがほとんどですが、最近では光沢の出ないペンキの人気や需要も増えています。


光沢のある仕上がりのメリットは艶感です。日光や電気の光が当たるとよく光理、いかにも水などを弾きそうなテカテカした仕上がりとなります。

光沢のない仕上がりのメリットは、例えば屋内・部屋の壁などに塗った時にテカリがないため、光が当たって光すぎるとか、「いかにも塗った感が出ない」ことにあります。
「マットな仕上がりになる」という表現で販売されているミルクペイントペンキ塗料などが光沢の出ないペンキです。


どちらにもメリットがありますが、光沢のあるペンキは塗ってから数年経ち経年劣化すると、その表面のツルツルテカテカがなくなってしまいます。ペンキそのものの劣化であったり、ペンキの上に塗ったニスの劣化などが原因です。





 
変色
変色
 

漢字の通り、塗っていたペンキ塗料の色が変わってしまうことです。

日焼けした本(書籍)を見かけたことがあると思います。本を構成する紙は、紙質にもよりますが紫外線が当たる場所に置いたままにすると日焼けします。
「100年経っても劣化しない中性紙」をうたった紙やノートもあるくらいに、紙には紫外線が禁物です。

また、例えば屋外で長時間DIY作業に励んだり外壁塗装に励んだりしていると、首の後ろや鼻の頭が日焼けしたり、屋内に入って初めて「日に焼けた!」と気づいたりすることもあります。紫外線は人間の肌にも影響があります。


同じくペンキも紫外線で劣化します。ペンキは色によって紫外線の吸収率が異なるため、紫外線をよく吸収する色ほど変色が早いです。

簡単にいうと赤や黄色、オレンジなどの暖色系の色は変色・退色が早く、青・緑・黒などの寒色系の色の変色・退色は緩やかです。





 
ひび割れ(クラッキング・チェッキング)
ひび割れ
 

ひび割れは、クラッキングとも呼ばれます。

深いひび割れと浅いひび割れで呼び方が異なり、深いひび割れはクラッキングと呼ばれ、ペンキ塗膜から塗膜を塗った壁や素地などにまで達するような深さのものです。

浅いひび割れはチェッキングと呼ばれ、ペンキ塗膜の表面及びペンキ塗膜のみがひび割れている浅いものに対して使われます。


「アンティークペイント」「アンティーク加工」と呼ばれるような、ビンテージ感を表現した塗り方やDIYの手法があります。塗ることでひび割れを発生させることができる国産・外国産のペンキ塗料も流行しています。

ひび割れは劣化しているから出る症状ですから本来は塗り替えのサインですが、見方を変えれば「愛用して使い古した印象」になるのです。おもしろいですね。





 
剥がれや浮き
剥がれや浮き
 

ペンキ塗膜は劣化すると剥がれや浮きが出てきます。劣化するだけが理由でなく、塗るときの素地調整の悪さが原因であることもあります。下地処理をきちんとしなかった、乾いていない面に塗ったなどです。

剥がれは、ひび割れが最初に入って、そこから雨水などが浸透し風にさらされて鱗のようにポロポロと落ちるようなことがよく起きます。

浮きは、塗装面の内側から水や何かが押し出してきたような、ポコンとできものが出てきたような浮きが出ることがあります。指で押さえると、塗膜が浮いて分離しているため、パリッと割れたりすることもあります。





 
チョーキング(白亜化)
チョーキング
 

黒板やアスファルトに文字を書ける白い棒、チョークをご存知ですか。

チョーキングとは、ペンキ塗装面が劣化でチョークのように粉を吹くことです。白亜化とも呼ばれます。

古い建造物を触ったり、おもむろに体を寄りかかったりした時に、手や洋服に白い粉がついたことがある経験はありますか?あれが、チーキング現象を起こした塗膜です。塗膜から光沢が失われ粉を吹いています。




 
ペンキの劣化を止める対策・防止策とは?

主に2つあります。塗装時に上塗りで機能性塗料を塗っておくことと、こまめに塗りなおすことです。

機能性塗料には多くの種類があり、防水性や耐久性を高める効果があります。
次にこまめな塗り直しですが、これは、劣化の症状が出てくる前に塗り重ねましょうというものです。

都内にそびえる赤い東京タワーも、いまだに数年ごとに塗り替えられています。劣化が出てしまうと、塗膜を剥がし、改めて下地調整をし、塗りなおさなくてはなりません。

しかし劣化が出てくる前に重ねて塗り続ければ、塗膜がミリ単位で重なっていき、重なることで強くなっていくため、劣化しづらくなるどころか厚みを増し丈夫になっていきますよ!
 
ペンキを塗ると、塗ったものは耐久性が増します。しかし塗膜自体も劣化していくので、劣化への対策をしておきたいですね。








 

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