DIYペイントの道具選びハケの毛の種類と特徴
正しいハケを使うとペイント作業がとても効率的になる上、仕上がりの良さにも直結します。特に水性用のハケは、毛が細くて水分をたっぷり含むものがおすすめ。ひと筆で塗れる面積が大きくハケのあとが残りにくいからです。
ハケの基本知識
刷毛(ハケ)とは、木やプラスチックの柄の先に毛が取り付けられた道具で、塗装や内装工事で塗料を塗るのに使われます。
書道や絵画、お化粧で使われる道具は筆と呼ばれます。刷毛(ハケ)と筆についての明確な違いや定義はありません。
形状の違いとして、ハケは毛束を木やプラスチックの柄で両側から挟むような形状で、平たく、幅の広い形状をしています。広い面積に塗料を塗ることが目的で使われます。
対して筆は、毛を縛ったものを木やプラスチックの柄に取り付けており、形は丸く、ハケのように平たい形状ではありません。
文字や絵など、広すぎない面で何かを描くことを目的に使われます。
塗装のお仕事や、趣味でDIYをしている方は良く使いますが、一般の方にはハケよりも筆を使うことの方が多いかもしれません。
ハケは、塗装や、料理やお菓子作りの道具にも使われます。
ハケに使われる毛には、様々な種類があります。天然繊維である動物繊維と植物繊維、そして化学繊維の順に説明します。
動物繊維(動物の毛)
馬の毛の特徴
馬の毛は、部位ごとにそれぞれ特徴がありますが、どの部分も高級な原料とされており、耐水性に富んでいることが特長です。たてがみ、蹄の周囲、胴体、そして尾っぽの部分を使います。
たてがみ…コシが強く、塗料の含みが良いです。
蹄の周囲…ハリがあり、細いですが強い毛です。
胴体…柔らかく、毛のまとまりが良いハケになります。
尾っぽ…太い毛で、塗料を塗布するためのハケではなく、接着剤塗布用に使われます。
尾っぽの付け根…新毛は天尾と呼ばれ、最高級品です。
豚の毛の特徴
豚の毛は、馬の毛よりも硬く、コシと弾力があります。
毛先が割れているため、毛質のわりに、柔らかいことが特長です。
山羊の毛の特徴
山羊の毛も馬の毛と同様に、全身の毛が余すところなく使われます。
尾っぽ、蹄の上、脇腹、アゴヒゲ、そして背中です。
毛質が柔らかく、塗料の含みが良いことが特長です。
その他の動物繊維
上記でご紹介した3種類が主流ですが、イノシシや鹿の毛のハケもあります。また、漆塗装用の筆やハケには人毛が使われることもあります。
動物繊維は、毛先が繊細で色艶に富み、弾力がある物が良いとされています。
化学繊維
PBTというポリエステル系の樹脂繊維や、カネゴートというアクリル系化学繊維、またはナイロンやアクリルの化学繊維が使われます。
PBT(ポリブチレンテレフタレート)は耐水性、耐薬品性に優れており、酸やアルカリにも強いです。化学繊維の中では高級素材と言われています。乾きが早く、曲げやたわみの回復性に強いという特長があります。
カネゴートは軽量で耐水性・保水性に優れています。ソフトな感触ですが、コシはあまりありません。
では、動物繊維と化学繊維のどちらが良いのでしょうか?どちらが優れているでしょうか?ハケを選ぶ際に、どう選べばいいのでしょうか。
ハケは、塗料に合わせる
塗料に合わせてハケを選びましょう。
水性塗料には、ソフトでコシのある、柔らかなハケを選びます。
水性塗料専用のハケは、動物繊維だけでなく、動物繊維と化学繊維を混ぜた混毛で作られ、毛が白色のハケが多いことが特徴です。
油性塗料には、溶剤に対応した、しっかりとしたハケを選びます。
スミ切りやダメ込み用のハケは、毛がまとまって広がらないこと、コシがよくへたりにくい物を選びます。山羊や馬毛、豚毛、化学繊維で作られ、毛が茶色や黒色のハケが多いことが特徴です。
もちろんハケに「水性塗料用」「油性塗料用」と記載してあれば、それぞれ塗料に対応していることがわかりますね。
そのほかには、ラック・ニス用のハケや、目地用ハケ、ダメ込み・隅切り用のハケなど、用途に応じて選びます。
動物繊維のほうが高価である、品質も良いと言われることがありますが、油性塗料と相性が悪い場合もあります。
動物の毛のハケを使用すると、毛のアルカリ成分が塗膜になる前の塗料と反応してしまい、ハケが固まってしまうこともあるのです。
もちろん動物繊維は、毛先が少し先細りした形状になっていたり、毛が波打っているなどの特長があり、塗料の含みが良く、昔からハケに使われています。
しかし使われる毛が、若い動物の毛なのか、それとも老いた動物の毛なのか、産地の気候や環境はどうかによっても、毛の品質は異なります。
動物繊維は一定の品質を保つことが難しく、キューティクルがあるか、適度な油分を含んでいるかなど、品質の善し悪しは毛をとる動物の生育状況に大きく左右されます。
動物繊維と化学繊維、一概にどちらが優れている、劣っていると優劣はつけることはできません。使用する塗料に合わせ、大きさを選び、予算の兼ね合いで決定しましょう。
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