DIYペイントと機能性塗料防虫塗料とは
防虫塗料とは、薬効成分の働きによって、シロアリやキクイムシの被害から木材を守るための塗料です。しかし、ただ闇雲に防虫塗料を塗っても、確実な成果は挙げられません。まずは、シロアリの生態を知ることから初めてみましょう。
アリという名前がついていますが、シロアリはゴキブリ目シロアリ科の昆虫です。国内には17種のシロアリ類が生息しており、多くは野外で活動しています。
建築害虫としてヤマトシロアリとイエシロアリの2種が有名で、いずれも成虫の体長は5mm~10mmほどしかありませんが、季節を問わず年中食害を行います。
日本全土に分布する茶褐色のヤマトシロアリは、湿って腐朽した木材を好むため、台所や風呂場などの水廻りに被害が集中します。
地中や地面近くの木材などに営巣する性質があるため別名「地下シロアリ」と呼ばれています。食害はそれほど速くはなく、活動も広範囲に及びませんが、1階のみならず2階まで食害が及ぶこともあります。
関東以南に生息する乳白色のイエシロアリは、水を運び込んで乾燥した材を湿らせる習性を有し、建物を崩壊させるほど広範囲に食害が及びます。
一群を構成する個体数は最大で100万匹にも達し、集団が大きくなりすぎると、6~7月の風のない夕方から夜にかけて数万もの羽アリが一斉に群飛します。
考えただけで鳥肌が立ちそうな様子です。
壁際に木くずや蟻道が見られる、床や柱に小さい穴が開いている、室内に小さな羽が飛散しているなどの現象はシロアリ被害を受けている兆候です。
さらに、床が軋んだり柔らかく沈む、壁に雨染みの跡がある、床や壁にカビが発生するといった症状は食害が進んでいる証拠です。思い当たる様子は、ありますか?
シロアリは木材を好んで食すため被害に遭いやすいのは木造住宅です。
しかし蟻道を作るために、木材へ至る途中のコンクリートや金属も食べ進めてかじっていきます。鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅でも被害に遭うケースは見られます。
特に通気性が悪く床下が低いベタ基礎や布基礎構造の住宅は、シロアリの被害率が高くなる傾向にあります。
シロアリ被害の予防法とは?
シロアリなど害虫の被害予防は、新築時から備える必要があります。
シロアリは暗くてジメジメした環境を好むため、建物下部の土壌に薬剤の散布やシート処理を施す、土台近くの木材に防蟻処理を行うなど、土壌や床下の木部を中心に防虫対策を徹底します。
そのほか、床下に朽木や木材、ダンボールなどを放置しない、床下通気口を塞がない、定期的に押入れを換気する、雨漏り箇所を放置しないといった日常の管理も大切です。
ウッドデッキや木柵、切り株などがシロアリの営巣になることも多いです。小まめにメンテナンスを行いましょう。
いわゆる害虫と呼ばれる虫たちは見た目も個性的で、なるべくなら出会わず目につかないように過ごしたいと思う方が多いでしょう。もちろん虫たちも、好き好んで人間の住まいに入り込んでいるわけではありません。
しかし人間の住みやすい場所は虫にも動物にも住みやすく、人間にとっておいしいものは虫にも動物にとってもおいしいものです。
害虫駆除をせず、防虫塗料を使わないままなんの対策も取らないでいると、築年数に関わらず虫や動物を引き寄せます。虫を引き寄せると、その虫を餌にする動物が集まってしまいます。
例えば、ネズミが好む虫たちが床下や天井裏に集まれば、床下や天井裏はネズミの大所帯の住まいになり、彼らの糞尿によるニオイや成分が住宅建材を劣化させる影響を与えてしまうのです。たかが小さな虫と思っていると虫は集まり、虫の集団は動物を引き寄せます。
彼らも必死に生きているだけなので、人間に被害を加える意思があるわけではありません。私たちの住まいの近くでは生活しないでくださいねと、シロアリなどの害虫が木造部分・木材部分を食べないよう防虫塗料の塗布をしておき、害虫害獣対策をしましょう。
防虫塗料にはネオニコチノイド系の化合物のほか、植物の精油成分から得られるテルペンや、ヒバの木から抽出されたヒバ油、ショウガ科の月桃(ゲットウ)など、植物由来の成分も多く利用されています。
ほとんどの防虫塗料には、防腐剤や防カビ剤も併せて配合されています。シロアリは湿って腐朽した木材を好むためです。
すでに食害が進んでいる場合は、防虫塗料の塗布よりも先にシロアリの駆除剤を混入した餌を蟻道や営巣に設置するベイト工法を行います。
駆除までには早くて2~3ヵ月ほどかかりますが、コロニー全体を根絶やしにすることができます。被害状況が酷く見える場合は、プロの駆除業者に相談したほうが良いでしょう。
場所や用途に合った防虫塗料を
防虫塗料の使用方法は、噴霧器を用い木材表面に防虫塗料を吹き付けるか、ハケなどで木材表面に塗布します。
使用箇所は土台・柱下部・大引・根太など、地面から1mぐらいまでの床下木部や、浴室・洗面所・キッチンといった水廻り部分の木材に塗布します。
木口や切り欠き・ボルト穴・仕口などの接合部には入念に塗布しましょう。
外壁やベランダの手摺、ウッドデッキなどの屋外木部、ラティス・プランター・といった園芸用品へも、広範囲に塗布してください。
防虫塗料には屋内用と屋外用があります。用途に合わせて選んでください。
人間の家屋に発生すると害虫として扱われてしまう、シロアリなどの虫たち。
台風や荒れた天気で倒れた木を食べ、クマやアリクイが彼らを餌として食べる。シロアリもキクイムシも、自然の循環の中で重要な役割を担っています。
しかしながら、人間の住まいの木造部分を食事にされてしまうと家が倒壊してしまいます。それほどに彼らは良く食べよく活動するのです。万全な防虫対策が必要です。
木造建築・木材・木製製品へは防虫塗料を塗布して、彼らが家族の一員になってしまうことは防ぎましょう。
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