お部屋を快適にする無垢フローリングの調湿効果
無垢フローリングの優れた特徴のひとつが調湿効果です。無垢フローリングはいわば天然の除加湿機。今回は人の快適感、不快感を左右する温度と湿度の関係、無垢フローリングの調湿効果についてご説明いたします。
生活空間の中で、快適か不快かは温度と湿度が大きく影響します。
私たちが快適だと感じる温度や湿度は夏と冬によっても違いがあり、個人差もありますが、一般的に夏は室内温度が22度~28度、室内湿度55~65%、冬は室内温度18度~22度、室内湿度45~60%程度だといわれています。
湿度が40%以下になると、口腔粘膜が乾燥し、インフルエンザウイルスの生存率が高くなります。
また静電気も生じやすくなります。湿度が70%を超えると、汗の蒸散を妨げ不快と感じるようになり、カビやダニの生育が早くなります。
さらに温度28度以上、湿度70%以上になると熱中症のリスクが高まり、注意が必要になります。
無垢材の調湿機能は木材の成分であるセルロースやヘミセルロースが水分を引き寄せる部分があり、この部分に水分が吸着したり離れたりすることで調湿機能を持つといわれています。
何らかの原因によって室内の湿度に変化が起こると、木材はこの湿度と平衡しようとします。これによって室内の湿度は常に50%程度に保たれます。
木材の水分を保持する能力は、厚さが4mmで1㎡の大きさのヒノキ板が飽湿したときの水分量が、8畳程度の部屋で室温が25度のときの飽和水蒸気量(空気の含むことのできる水蒸気の量)と同じ程度だとされています。
このように木材の水分保持能力は空気に比べて遥かに大きいため、木材の含水率をほとんど変えることなく、含水率と平衡するまで空気中の湿度を変えることが可能なのです。
言い換えれば室内の湿度をほぼ一定に保つことができるということです。
室内湿度を50%に保てば、空中浮遊菌の大半が死滅するといわれており、人にとって快適なだけでなく健康的にも最適な湿度だといえるでしょう。
調湿作用が有効に行われるために、無垢フローリングの厚みはどれくらい必要かというと、5mm~10mm程度で十分です。
実は調湿作用が行われているのは無垢材表面の2mm~3mm程度の薄い層なのです。
効果的に調湿を行うには、無垢材の厚みよりも部屋の容積に対して無垢材の表面積を広くすることが有効なため、床に敷き詰める無垢フローリングは効果的な調湿機能を発揮します。
調湿効果を高めたい場合には床だけでなく、壁や天井などにも木質系のものを使用したり、木質系の家具を置いたりするとさらに効果がアップします。
しかし、表面に湿気を通しにくい塗装をしているものは調湿効果が失われてしまいます。
無垢フローリングの樹種によって調湿能力に違いがあります。
樹種によって軽い木や重い木がありますが、比重の大きい広葉樹よりも比重の小さな針葉樹の方が調湿能力は高くなります。
木材の比重とは、同じ体積の水の重さを1として比較した数値です。
例えば1ℓの水の重さは1kg(1,000g)ですが、同じ体積(縦・横・高さ10cm)の立方体のスギ材の重さが380gであったならスギの比重は0.38となります。
比重が1より小さい木の場合は水に浮き、1より大きい木の場合は水に沈みます。
ちなみに日本産で最も比重の小さい木はキリ(0.19~0.3)で最も大きい木はイスノキ(0.75~1.02)です。
比重の大小は木材の中に含まれている空気の量の違いによります。比重の大きい木ほど空隙が少なく緻密なため、硬くて頑丈だということです。
フローリング材に使われる樹木の比重
・ハードメープル=0.72
・ビーチ=0.62
・ホワイトアッシュ=0.68
・ナラ=0.67
・ウォルナット=0.64
・チーク=0.57~0.69
・チェリー=0.58~0.61
・ヒバ=0.37~0.52
・コウヤマキ=0.42
・ヒノキ=0.41
・スギ=0.38
針葉樹の比重は広葉樹に比べてかなり小さく、スギやヒノキ、コウヤマキ、ヒバといった日本では馴染みの深い樹木がより高い調湿機能を持っています。
また同じ樹種の場合は、無垢材の柾目面が板目面より調湿機能が高くなります。
※柾目とは木目が平行できれいな縦縞模様になっているもの。板目とは木目模様が山形や波形になっているもの。
無垢フローリングを選ぶ際、調湿効果だけで選ぶわけではないと思いますが、フローリングを使用する部屋の用途によって樹種を使い分けてはいかがでしょうか?
例えば寝室などには調湿効果の高い針葉樹のフローリングを使用すると、針葉樹の成分であるフィトンチッドによって様々な効果が得られます。
抗菌・防虫効果、消臭・脱臭効果、リフレッシュ効果などにより、快適で質の良い睡眠が期待できます。
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