本革との違いや使用するメリットを知ろう! ビニールレザー(フェイクレザー・合皮)とは?
ソファや椅子などに使われているビニールレザー(フェイクレザー・合皮)。カラーバリエーションが豊富でデザイン性にも優れているビニールレザーは、本革と見分けがつかないようなリアルなものもあります。ビニールレザーと本革の違いは何でしょうか。
ビニールレザーとは?
椅子生地や車やバイクシートに
使われる高耐久のレザー
汚れや水に強いビニールレザーは、ソファや椅子の張り生地、車やバイクのシートにピッタリです。さらに、鞄や靴、財布、スマートフォンケース、各種スポーツ用品、ステーショナリー、衣類など幅広く使うことができます。天然皮革よりもコストが安く扱いやすく、質感や色柄も充実しているので、シーンに合わせて気軽にDIYを楽しむことが可能です。
合成皮革や人工皮革との違い
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天然皮革以外のレザーは、「合成皮革」、「人工皮革」、「塩ビレザー」の3つに大別できます。
合成皮革と人工皮革はポリウレタン樹脂(PU)を使用したレザーで「フェイクレザー」とも呼ばれています。塩ビレザーは、塩化ビニル樹脂であるポリビニールクロライド(PVC)を使用したビニールレザーです。いずれも天然皮革に似せて作られているイミテーションレザーです。
天然皮革とビニールレザーの
構造の違い
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天然皮革(牛皮の場合)
牛革は、毛と毛の生えている皮膚(表皮)と皮下組織を取り除くと、「銀面層」と「コラーゲン層」が残ります。銀面層の繊維構造はとても綿密で表革となります。コラーゲン層はたんぱく質の繊維が立体的に絡み合った構造になっています。
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人工皮革(PUレザー)
人工皮革は天然皮革の構造に限りなく似せてつくったレザーで、見た目だけでなく質感も本革に近い仕上がりです。ポリエステルやナイロンの繊維を立体的に絡み合わせたところに、ポリウレタン樹脂を染み込ませた不織布層が、天然皮革でいう「コラーゲン層」の部分になります。ポリウレタン樹脂を型押した表面樹脂層は、天然皮革を再現する加工が施されています。
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合成皮革(PUレザー)
合成皮革も主にポリウレタン樹脂を使用していますが、人工皮革と違う点は基布となる部分が不織布ではなく編物や織物であることです。その上にポリウレタン樹脂を貼り合わせて、厚く塗布して表面樹脂層をつくります。天然皮革のようなシワを人工的に加工した合成皮革も、本物に近い風合いが楽しめます。
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塩ビレザー(PVCレザー)
ビニールレザーの構造は合成皮革と同じで、編物や織物層の上に樹脂層をつくり、天然皮革のような見た目を再現しています。表面の樹脂層がポリウレタンではなく塩化ビニルであることが合成皮革との違いですが、見た目だけでは判別をつけることは難しいでしょう。触ってみると合成皮革の方が柔らかさや弾力性が感じられます。
天然皮革とビニールレザー
それぞれの特徴
天然皮革(本革)の特徴
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天然皮革の長所は、使い込むほどに風合いや味わいが出ることです。柔らかく、適切なメンテナンスをしていれば長持ちさせることができます。吸湿性や通気性があることも天然素材ならではの利点です。また燃えにくく耐燃性があることや、ダニなどのハウスダストを内部に通さない素材なので、アレルギー対策にもなります。しかし短所もあり、耐水性はなく、水に濡れるとヒビ割れの原因となります。
専用のクリーナーなどで定期的なメンテナンスが必要であることと、ビニールレザーに比べると高価であることも欠点と言えるでしょう。
塩ビレザー(PVCレザー)の特徴
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ビニールレザーは、PUレザー(人工皮革・合成皮革)よりも低価格のものが多いです。耐水性が高く汚れにくいのでメンテナンスがとても簡単なことが利点です。防汚加工や抗菌加工など、いろいろな機能を付加したものが多いため、汚れやすいソファや椅子、耐久性耐水性が必要とされるバイクシート等にも使用されます。ただ、PUレザーに比べると、柔軟性や通気性、弾力性に劣り、夏の湿度が高い季節には少し肌にベタつく可能性があります。また、PVCは素材として熱に弱く、何も加工を施されていない場合、約60度以上で表面が溶けてしまう欠点があります。
人気のPVCレザーをピックアップ!
PUレザー(人工皮革・合成皮革)の特徴
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PUレザーは本革に近い質感です。しなやかな柔らかさと弾力性も高く、ソファなどの曲線にも対応できる素材です。PVCレザーに比べると通気性もあるので、肌触りも良いです。撥水性も高いので、メンテナンスが簡単なこともメリットです。本革に比べると耐久性には劣りますが、PVCレザーに比べると経年劣化がしにくいと言えます。しかし湿度が高い環境には弱い性質があります。そのため以前は加水分解をおこし表面がボロボロになりやすい素材とされてきましたが、現在のPUレザーは加水分解がおこりにくいように改善されたものが多くなっています。
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ビニールレザーの機能性
ビニールレザーは、
天然皮革にはない機能性が魅力です。
商品によって付いている機能は異なりますが、
防汚や抗菌など生活に便利な機能から、
難燃など場所によっては必須となる機能まで、
ビニールレザーの機能性を細かくご紹介します。
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防汚
ビニールレザーは基本的に他の生地と比べて防汚性に優れています。通気性がPUと比べて低い分、水分や油分などを吸収しづらく、サッと拭き取るだけで大体の汚れは対応可能です。それに加えて、表面のフッ素加工などを施しているタイプや、油による硬化を防ぐ耐油生地など、さらに防汚性を高めたレザーが豊富です。
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抗菌
抗菌加工は、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌などの増殖を抑制して、臭気を抑える効果もあります。抗菌生地には、繊維自体に抗菌剤を練り込む「前加工」と、生地ができあがった後に抗菌剤をコーティングする「後加工」の2つがありますが、どちらもJISの試験で性能が保証された生地になります。
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耐次亜塩素酸・耐アルコール
耐次亜塩素酸とは、ノロウイルスなどに有効とされる「次亜塩素酸」での消毒が可能なビニールレザーです。対応していないレザーの場合、次亜塩素酸で消毒すると、生地の色落ちや硬化の可能性が高くなります。また、除菌シートで使われるアルコールも非対応のレザーは同様に注意が必要です。耐アルコール機能のレザーであれば、アルコール消毒が可能になります。
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難燃
車の内装で使用する素材は、JABIA(日本自動車車体工業会)の基準を満たした難燃生地でなければいけません。もし、基準を満たしていない素材で内装を貼り替えてしまった場合、車検に通らない可能性があります。また船舶内装にもさらに厳しい難燃の基準が設けられており、船舶で使用できるレザーは国内メーカー品でも、種類が限られます。
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伸縮タイプ
天然皮革の場合、生地の伸縮性はほとんどありませんが、ビニールレザーの場合は、加工がしやすいように伸縮性を持たせたタイプが選べます。伸縮タイプのレザーはストレッチレザーとも呼ばれ、衣装やブーツなどにも使用されますが、椅子張り生地としてもよく採用されています。丸みを帯びた形状であってもしっかりフィットするため、椅子の座面やバイクのシートなど、DIYでの貼り替えはこちらのタイプがおすすめです。
ビニールレザー
(フェイクレザー・合皮)
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