歴史ある、日本の高級敷物毛氈とは
ひなまつり、結婚式、茶室などでよく見かける、赤いカーペット。この敷物が毛氈(もうせん)です。日本の伝統的な高級敷物として、あらゆる行事で古くから使われてきました。和風な空間を演出する敷物として、今日でも日本の伝統行事に欠かせないインテリアになっています。このページでは、毛氈とはどんな敷物なのか、特徴、歴史、使用用途、素材、色、模様に注目してまとめました。
毛氈について
毛氈とは
和の空間に用いられる、高級敷物毛氈(もうせん)は、羊毛などの獣毛を原料に織物風に仕上げた敷物のことです。獣毛に熱や湿気、摩擦、圧力をかけて繊維を固めています。イメージはフェルトに近く、カーペットの一種に分類されています。
断熱性、保温性、クッション 性に優れており、和室や茶室、寺院や旅館など、和の空間で広く使われています。緋毛氈(ひもうせん)と呼ばれる赤い色の毛氈が敷かれる場合がほとんどです。
羊毛などの天然素材を使っているため、見た目・触り心地・クッション性など品質が良く、日本の伝統的な高級敷物として使われてきました。
毛氈の歴史
奈良時代に輸入され、江戸時代に普及毛氈の歴史として、日本最古の毛氈は、奈良時代に朝鮮半島から輸入された模様入りの花氈(かせん)があります。現在は東大寺の正倉院に納められています。
当時は、身分の高い人しか見ることができず、輸入品のため頻繁に買い替えできなかったのではと言われており、庶民が使うというよりも貴重なお宝として大事にされていたようです。
室町時代、海外から絨毯のようなものが入って、高級武家間での使用が多かったとされています。安土桃山時代になり、ポルトガル人や中国人が様々な絨毯を持ち込み、縁起の良い敷物として古くから使用されてきました。
毛氈が庶民に普及したのは、毛氈製造技術が導入された江戸時代後期に入ってからのことです。
毛氈の使用用途
桃の節句、端午の節句、結納など様々なシーンで毛氈は、日本の伝統の高級敷物として古くから使用されてきました。例えば、平安時代の貴族たちは和室の一部や座る場所の一部に敷いて使っていました。江戸時代には、祭礼や催しの際、お店の装飾として華やかに彩ることもあったようです。
現在では、桃の節句、端午の節句、結納、結婚式、茶室、書道、寺院、神社、舞台、演奏会、その他イベントなどの装飾としてあらゆる場面で用いられています。
ひなまつりや結婚式で見る赤い敷物も、毛氈の1つなんですね。端午の節句では、五月人形の台座に緑色の毛氈を敷きます。
毛氈の素材について
羊毛などの獣毛(ウール)が一般的毛氈の素材は羊毛が一般的ですが、その他にもうさぎやヤギ、牛やラクダの毛も使われることがあります。
純毛タイプ(ウール100%)の毛氈は、肌触りが良く柔らかな仕上がりで、見た目も高貴な印象になります。他素材とミックスした混紡の毛氈は、純毛の品の良さを残しつつ強度をプラスしてリーズナブルなのが特徴です。
毛氈の色について
緋色(赤)が定番!他カラーもラインナップ毛氈の色は緋色(赤)が一般的です。緋色の他にも緑や紺色の毛氈があり、五月人形の装飾には緑色を、書道の下敷きには紺色を、といったように用途や演出したいイメージに合わせた色を使用します。
雛飾りや結婚式、お茶席やなど、行事でよく使われる「緋色(赤)」は魔除けの色とされ、生命力の意味があるとされています。
緋色は、濃くて明るく、鮮やかな赤です。緋色の毛氈は「緋毛氈(ひもうせん)」と呼ばれ、敷くだけで和の風情に満ちた、特別な雰囲気を演出してくれます。パッと目を引き、注目を集めるので、イベントや行事にもピッタリです。
毛氈と他のカーペットとの違い
肌触りの良さ、クッション性、美しい見た目毛氈は、他のカーペットと比べて品質が良いのが特徴です。毛氈の素材には、基本的にウールが使われているため、柔らかな手触りでクッション性も高くなります。
毛氈によく似た商品で、化学繊維から作られたパンチカーペット(レッドカーペット)がありますが、やはり見た目の高級感は毛氈には敵いません。
毛氈ならしっかりした厚みがあるため敷いた時の反り返りの心配もなく、より上質で格式の高い雰囲気を演出できます。
毛氈とは、
和空間になじむ上質な伝統織物
毛氈とは和の空間に古くから使われてきた伝統織物。羊毛などの獣毛を素材とした、柔らかな肌触りと程よいクッション性が特徴です。ウール100%(純毛)とその他素材をミックス(混紡)した毛氈があり、ウールの割合が多いほど、見た目も高級で品質も良くなります。
桃の節句(ひなまつり)や結婚式などで使われる、緋色(赤)の毛氈がとくに有名です。緋色には、魔除け・生命力の意味があるとされています。その他、寺院、神社、旅館、イベントなどあらゆるシーンでも広く使われています。